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野生の犬について (9)

部族

森林学者のマイク・ウイラングエとトレバー・ブルッキングスは仕事を辞め、パプアニューギニアで最も探しにくいといわれている犬を求めてやってきました。
ある村でシンギング・ドッグのことを訊ねると、誰もが同じ場所を教えてくれるのです。

マイクとトレバーはシンギングドッグがいると聞いたワオという村に行ってみることにしました。

村人はこの犬を「森の精」と呼んで尊敬し、狩りの共にしてきました。
しかし、この数十年間で純血種は消えさりました。残されたのは混血が進んだ雑種の犬ばかりです。 昔は野生の犬が仲間を呼ぶ声がしていたそうです。
そして、新しい情報を得るために村はずれまで来ました。

ここの農夫の飼い犬は子供の時、森で拾ったものだというのです。
マイクらが見たことがなかったので写真で確認しました。
姿は似ていますが、純血ではないようでした。おそらく飼い犬との雑種でしょう。念のためDNAを採取し、遺伝子を確かめてみることにしました。
DNA鑑定すれば、純血種の生息が証明できるのです。その為には本物が必要です。

そこで、野生の犬を最近見かけなかったかと訊ねると、これまでに聞いたのと同じ答えが返ってくるのです。
人が近づかない大きな山があって、そこに犬がいるそうです。農夫の話しで確信できました。
もし、「シンギング・ドッグ」がいるなら、西の方の山奥にいるはずです。
二人はその奥地に行ってみました。

現在多くの専門家が野生のシンギング・ドッグは絶滅したと考えています。
しかしマイクは、ニューギニアにまだ生息していると証明したいと思っているのです。

たどり着いたのはアサイスという村です。

ここには女族という部族が住んでいます。
村人は歓迎ムードですが、犬を探すのは村の承諾が必要です。
多くの村人は野生の犬を目撃していました。ベテラン猟師も遠吠えを聞いたそうです。

長老達は犬探しを許可してくれました。
しかし、生息しているのは、険しい山の上だと警告されました。
過酷な山登りはシンギング・ドッグがいるという山へ地元の猟師でも1日掛かりです。

この山に足を踏み入れた部外者はほとんどいません。

傾斜角度30度くらい。裸足にも関わらず村の男たちは、この険しい岩場をすいすいと登ります。

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